[中島京子さん]父の認知症を早期発見
[Kyoko Nakajima] Early detection of dementia in her father

ヨミドクター
読売オンラインからのご依頼
『父と紡いだの思い出糸 ~認知症との10年~』
フランス文学者だった父の変化は、本棚から始まりました。 2002年、中島京子さんは実家の本棚に並ぶ認知症の書籍に気づきました。
2004年、都内で道に弁当を持った父は初期の認知症と診断されます。しかしこの初期発見が、その後の穏やかな時間への入り口になりました。正しい投薬により、父は日常を増設し、娘の運転する車での外出を楽しみ、家族とフランス旅行にも出かけられるようになりました。
「あんたは誰の娘だったっけ」と真顔で問いかけ、ブレーキを踏みそうになった瞬間も。セーヌ川を見て「荒川だ」と言い切った父の言葉も。今では温かな思い出として中島さんの心に残っています。デイサービス「先生」と呼ばれ続けた父は、最期まで知識人としての誇りを持ち続けました。
10年の介護を経て、2013年、86歳で父は静かに旅立ちました。その経験は後に小説となり、多くの人々の心に寄り添う物語となっています。
「認知症との暮らしは、確かに大変なことも多いです。でも、父と過ごした日々には、思わず顔がほころぶような瞬間がたくさんありました。認知症の初期発見が、この大切な思い出を作る時間をくれたのだと思います」
〜ヨミドクター原文〜
https://www.yomiuri.co.jp/yomidr/article/20170119-OYTET50011/?catname=column_care-note